表面実装はんだ付け用「SMDクランプ」使用方法の補足説明

【開発支援ツールシリーズ】

SMDクランプ(150mmアーム)PX1810
使用のヒント


【はじめに】
 本ページはSMDクランプの使用方法の補足事項を集めたものであり、現時点では、動画や写真の多くがSMDクランプPX1810のものです。
 後継機 SMDクランプ PX2210と先行機種であるSMDクランプPX1810の違いは、クランパ先端の形状 だけなので、基本的な使用方法は同じです。
 従って本頁では、SMDクランプPX1810の動画や写真はSMDクランプ PX2210にも当てはまるものとしてご覧下さい。

 基本事項の説明は 表面実装はんだ付け用ツール「SMDクランプ」 のページをご覧下さい。

 本ページの動画は YouTube に投稿したものです。

 YouTube で 「はんだ付け SMD」等で検索すると1,000件以上のはんだ付けの画像がヒットします。
 「玉石混交」で、中には素手で部品を扱うものや、チップ部品の端子蒸発の観点から心配になるものも有ります.

 「SMDクランプ」を用いれば、誰でも「かなり玉」のはんだ付けができる様になると期待できます。

1.SMDクランプ(150mmアーム)PX1810によるはんだ付け例

【点眼はんだ法によるはんだ付け例】


■点眼はんだ法による1608Mチップ抵抗のはんだ付け
使用基板:CHIP/DIP兼用 ユニバーサル基板PX1320


■点眼はんだ法による1608Mチップコンデンサのはんだ付け
使用基板:0.65mmSSOP用ユニバーサル基板PX1610


溜め流しはんだ法によるはんだ付け例】

■20ピンSSOPのはんだ付け
使用基板:0.65mmピッチSSOP用ユニバーサル基板 PX1610



■1.27mm ピッチ8ピンSOPのはんだ付け
使用基板:SMD用ユニバーサル基板PX1211


■1.27mm ピッチ8ピンSOPオペアンプのはんだ付け
使用基板:シングルオペアンプ基板 PX1330


■5750Mサイズチップコンデンサのはんだ付け
使用基板:シングルオペアンプ基板 PX1330


■SC-70形3ピンSOTのはんだ付け
使用基板:0.65mmピッチSSOP用ユニバーサル基板 PX1610


■5ピンSSOPのはんだ付け
使用基板:0.65mmピッチSSOP用ユニバーサル基板 PX1610


■ダンパー線ののはんだ付けAWG30(Φ0.26mm単線)
ダンピング抵抗値決定の一方法のダンパー線付き可変抵抗取り付け
使用基板:シングルオペアンプ基板 PX1330


■表面実装型可変抵抗のはんだ付け
使用基板:シングルオペアンプ基板 PX1330


【参考】SMDクランプPX1810の耐久試験
31.1万回「OK」を確認(部品高さ17mm想定)
外観、押圧の変化無しを確認し耐久試験を終了。



2.使用方法の補足

(1)クランパ(部品押え)用アダプタ
 高さがクランパ先端の溝の深さより小さい部品や、大きさがクランパの先端の厚さ1mmより小さい部品はクランプできませんが、 アダプタを自作してクランパに取り付けるすると対応出来る様になる場合があります。

 具体的には、別途用意したガラスエポキシやアルミ板等を、先端がクランパ先端より少し突出する程度に切り出し、先端を所要の形状に加工してアダプタとします。
 (加工性、耐熱性、入手性の点でガラスエポキシ製のユニバーサル基板等の端材が最適と考えます)

 具体的方法はSMDクランプのアダプタ製作をご覧下さい。

 ●アダプタ製作例
アダプタの写真
熱収縮チューブとアダプタ
(クランパから外した状態)
アダプタ使用例の写真
アダプタを熱収縮チューブでクランパに固定
(Φ0.26単線をクランプした様子)

(2)位置決め障害対策
 はんだ付け対象基板の裏面に実装された部品がクランパホールに引っ掛かり、位置決めの邪魔をする場合があります。
 その様な場合には、耐熱性のある基板や金属板を下敷きとして用いると解決します。
 下の動画はその一例です。




(3)ガタつき対策
 基板端をクランプした場合に基板が傾いてガタつき、はんだ付けがし難い場合があります。
 その様な場合には、基板の他方の端にSMDクランプのベースの厚さ0.8mmにほぼ等しい板厚の板を基板の下に入れて支えると解決します。
 下の動画はその一例です。



(4)チップ部品の紛失防止に利用
 本項はSMDクランプを開発する時点では想定していなかった、SMDクランプ使用のメリットです。

 小さなチップ部品をピンセットでつまむと、何かの拍子にピンセットの先端が捻れて部品が弾き飛ばされる事があります。
 そうなると部品は見つからず、諦める事が殆どです。

 その様な場合は、ピンセットの先端に少量のフラックスを付けると、その粘性でチップ部品がピンセットに貼り付いて弾き飛ばされる事が少なくなります。

 SMDクランプを用いないはんだ付けでは、ピンセットから部品が離れず部品の位置決めができなくならない様に先端を清浄に保つ必要がありますが、 SMDクランプを用いる場合は、部品はSMDクランプでクランプされ、ピンセットから引きはがされるので大丈夫です。

 その様子を動画でご覧下さい。



 同じ理由でピンセット先端の着磁が問題とされる場合がありますが、同様にSMDクランプを用いる場合は、ピンセットの着磁は寧ろチップ部品の紛失防止に役立つといえます。

 結論的には「チップ部品紛失事故を防げる」のもSMDクランプの利点の一つです。

 こういう場合、一般的には「逆転の発想」というのかもしれませんが、そこまで大層なものではなく「捻転の発想」辺りが妥当でしょう。

3.SMDクランプの自作

 SMDクランプはプロユースとしては、自作するより購入した方が遙かに安価で高品質です。
 一方、趣味の場合には、時間を費やしても出費を抑えたいのが一般的です。

 その様な場合の、自作の為の参考資料として型紙を作りました。
  SMDクランプ型紙のダウンロード

 材料は加工性、耐熱性、弾力性の観点からから厚さ1.0〜1.6mmのガラスエポキシ板が最適です。
 プリント基板製造に伴う廃棄物である捨て基板、または市販のユニバーサル基板で充分です。

 型紙をプリントアウトして材料に貼り付ける場合には、プリンタ用ラベルシールの使用をお薦めします。簡単に貼れて、且つシワがより難く便利です。
 普通の用紙を使用する場合は水溶性の接着剤では紙が延びて寸法が狂うので、いわゆる「セメダイン」の様な接着剤を使用して下さい。
自作SMDクランプ
  自作SMDクランプの一例

 なお、SMDクランプの原案については工業所有権が設定されているので、営業目的での製造、販売はお控え下さい。
 また、当社では自作版のSMDクランプを使用した結果についての責任を負うものではないので、あくまでも自己責任で行なって下さい。


 以上 (最終改訂 2020/06/26)

特定商取引に関する法律に基づく表記

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