研究開発用ユニバーサル基板

有効利用のヒント


【はじめに】 本稿では以下プロエクシィ製 研究開発用ユニバーサル基板 を「研究開発用基板」と呼びます。
 ここでは研究開発用基板をより有効に利用するのに役立ちそうな方法をヒントとしてまとめました。

1.製作関連
項    目 記       事
チェック端子取り付け 試作回路ではチェック端子は効率を上げる為に重要です。
研究開発用基板では回路パターンは接続されていても実装しない部品のスルーホールを用いて簡単にチェック端子を取り付けられます。
チェック端子取り付け写真

また、回路構成用のジャンパ線をU字型にすればチェック端子としても使用でき、コストゼロです。
開発機器(測定器)用グランドバー ファンクションジェネレータ、オシロスコープ、ディジタルマルチメータ等複数の開発機器や測定器を接続する場合は多くのグランド端子が必要になります。
研究開発用基板には多くのグランドスルーホールが有るので、φ0.6mm程度の単線をユニバーサルエリアに設け、グランドスルーホールに接続すれば容易に機器用グランドバー(バス)を得られます。
CHIP/DIP兼用ベースユニバーサル基板 PX1310の基板端や、大径リード用ユニバーサル基板PX1220ではφ1.0mmの単線が使用できるので頑丈で大きめのグランドバーが設けられます。
グランドバー1写真  グランドバー2写真 
電源インジケータ 電源オン/オフ状態が一目で判る電源インジケータは有れば便利です。
研究開発用基板の電源スルーホール、グランドスルーホールとユニバーサルエリアを利用すると簡単にLEDが実装できます。
基板によってはそれらが近接しているので、配線無しでLEDと抵抗を実装するだけで電源インジケータが組めます。
電源インジケータ1写真  電源インジケータ2写真
リード線の再利用 リードタイプの部品実装後にカットしたリードを保管しておいて回路構成用のジャンパ線に用いると便利です。
写真はリード線をカットする際に、名刺の空き箱に貯め込んだものです。
リード線1写真
絶縁用底板の作成 基板で試験治具を製作する際に、周囲と電気的に絶縁する為に、絶縁用の底板を設ける場合が少なからず有ります。
底板1写真  基板に合わせた絶縁用底板を、予めまとめて製作しておくと便利です。
 厚さ1mm以下のアクリル板であれば、ハンドカッタで簡単にカットできます。

底板2写真 底板3写真
 勿論取り付ける為の支柱やビスもプラスチック製にします。

リードベンダ
ジャンパ線、リード部品のリード曲げ加工にはリードベンダRB−2、RB−5(サンハヤト)が便利(というよりむしろ必須)です。
リードベンダーRB−2の写真
チップ部品用ピンセット  一般的なピンセットでは尖った先端が少し捻れただけでチップ部品は何処かに飛んで行き、探す時間コストから大抵の場合は行方知れずになります。
SMDピンセット PT-20(株式会社 エンジニア)はチップ部品を確実にホールドでき、行方不明が大幅に減るのでお奨め品です。
チップ部品のホールドを前者が2点で行なうのに対して、後者は4点で行なう事に因るものと考えれば納得できます。
半田付けに関する情報 半田付けを練習するにしても誤った自己流に陥り易いので要注意です。
インターネットで探すと半田付け職人の半田付け講座(ノセ精機)、 CQ出版社、各半田コテメーカ等のサイトに半田付けの動画が多数有り、大変参考になります。 その中でも特に半田付け職人の半田付けblogやメールマガジンは理論的にも実践的にも 半田付け関連の情報が満載で初心者には大変為になります。
お目に掛かった事はありませんがサイトを運営する野瀬氏は筆が立ち、多芸多才の方の様で、その手はさしずめ”ゴッドハンダ”?...
フラックスは必須 表面実装部品の半田付けにはフラックスが必要と言われますが、フラックス入りの糸半田で充分なリード部品の半田付けの経験から、編者も含め半信半疑の人が多いと思われます。
しかし、表面実装部品の半田付けの仕上がりが今一つなので、試しにフラックスを使用した処、目からウロコ的に仕上がりが良くなりました。
やはりフラックスは表面実装部品の半田付けには必須の様です。
この事は半田付け職人の半田付け講座(ノセ精機)でも口を酸っぱくする様にして説かれています。
懐疑派の方には、騙されたと思って一度試される事をお奨めします。
フラックス洗浄剤も フラックスを使用したら後のトラブル防止の為に洗浄剤で落とすと見栄えもスッキリします。
Z-293 フラックスリムーバ、 Z-76 クリーンポット(ホーザン)(一例)も便利です。
油性サインペンのインクも落とせるので研究開発用基板のメモ欄の書き換えにも便利です。
リード部品の布マット リード部品の半田付け、特に背の高い部品を取り付けた後の背の低いリード部品は部品が下方に脱落するので半田付けがし難いものです。
その様な場合は、15Cm角程度の木綿の布をマット状に折りたたんで部品に当ててから、基板を反転させて作業台に置くと部品の脱落が防げます。
この時、作業台から基板(の支持用支柱)が少し浮く程度のマット厚にするのがポイントです。
後は基板を上から押し付けながら半田付けをします。
柔らかめのIC用導電マットを小さく切って使用する事もできますが、加熱で変形する事もさる事ながら、異臭(有毒ガス?)が発生するので奨められません。
布マット1写真  布マット2写真  布マット3写真  布マット4写真 
マスキングテープの利用 研究開発用基板では表面実装部品の端子には配線の為に必ずその近傍にパターンで接続したスルーホールを設けています。
表面実装部品の半田付けの際にスルーホールに半田が流れ込み難くする様な形状の半田レジストにしていますが、半田付け技術に負う面も有り完全ではありません。
不要箇所への半田防止には耐熱性クレープマスキングテープ(住友3M)(一例)の様なマスキングテープが便利です。
手半田作業では少量のテープを剥がして使い回せるので無視できる程のコストで済みます。

また、半田付け部に隣接して既に実装し半田付けされた部品が有った場合に、これをマスキングテープで カバーする事により、半田ゴテが無用に接触してその半田付けを駄目にする事から保護できるというもう一つのメリットが有ります。
マスキングテープ1写真
チップ部品の端子蒸発 チップ部品、特にチップ抵抗の端子は熱に弱く、一般的推奨温度(330〜340℃、鉛フリー)でも端子に直接半田コテ先を当てるとあっという間に端子が蒸発して不良部品になります。
パッドの部品端子近傍を半田コテ先で加熱してそこからハンダが部品端子に流れ込んで行く様にすると良い様です。
経験的には、特に鉛フリー半田初心者は最低でも100個はチップ抵抗の半田付け練習が必要と思われます。

【補足】端子部の製造方法の違いに因ると思われますが、短時間で適切な温度であれば直接半田コテ先を接触させても問題の無いチップ抵抗も有る様です。
 因に進工業のRG1608シリーズがOKでした。日本メーカ品であれば他にもOK品は有りそうです。

2.設計関連
項    目 記       事
電源供給コネクタ 研究開発用基板への電源供給コネクタはそのピンアサインも含め常に同一にして置きましょう。
電源装置からの電源供給ケーブルをその都度作成せず、接続変更もせずに使い回せます。
(ケーブル製作やケーブル接続作業は結構面倒で楽しくもありません)
ネジ止め式電源コネクタ 電源供給コネクタを自由に選択できる場合は、専用の圧着工具が不要なネジ止め式がお奨めです。
例えばMC 1,5/N-ST-3,81 Phoenix Contact (一例)が有ります。
(Phoenix Contact社のホームページ、カタログは非常に分かり難いので、入手性の点からもリンク先は上記としました。)
ピッチ3.81mmなので大径リード用ユニバーサル基板PX1220、CHIP/DIP兼用ベースユニバーサル基板 PX1310では追加工無しで基板側コネクタを直接実装できます。 ネジ止め式電源コネクタ1写真  ネジ止め式電源コネクタ2写真
メモ欄の活用 研究開発用基板には回路の使い回しができる利点もあります。
その為には管理方法が大事で、製作台数が増えてくると実機を保管して置いても何の回路か判らなくなってしまう様では只のゴミになってしまいます。
研究開発用基板にはシルクによる多くのメモ欄が有るので、ここに回路図番号や回路名等管理に必要な事柄を書き込んで置くと時間が経っても問題なく再利用ができます。
構造的には回路の改造も容易に行なえますので、その場合には回路図の変更も正確に残して置きます。
MEMO欄1写真  MEMO欄2写真
大容量パスコンの要否 殆どの研究開発用基板の電源入力部には1608サイズのチップコンデンサ以外に最低φ6.4mmの電解コンデンサ 又は5750サイズ迄のチップコンデンサが実装できる様にしています
基板単体で使用する場合はそのフットプリントに合う範囲で大きめの容量のコンデンサを実装しておけば安心です。
しかし、複数基板を連結使用したり、CHIP/DIP兼用ベースユニバーサル基板PX1310のドータボードとして 実装する場合は、電源供給部に代表で大容量コンデンサを実装すれば、全ての基板に大容量コンデンサを設ける必要は有りません。
例えば後者の場合にはドータボードは1608の0.1μFチップコンデンサだけで問題無しの実績が有ります。
VTパターン VT0写真  シングルオペアンプ基板PX1330にはVTパターンが有ります。
 これはピンヘッダや種々のピン配置の可変抵抗、トランジスタ、ダイオードが3端子SOTも含め、リード部品、表面実装部品に関わらず実装できる様にした弊社オリジナルのフットプリントです。
 これにより、トランジスタ回路、ゲイン調整回路、オフセット調整回路、基準電圧作成回路、ジャンパコネクタによる選択回路等多様な回路が少ない配線で組めますので、回路設計時には有効利用して下さい。
VT1写真  VT2写真
パッドインDIP 研究開発用基板の多くには空きスペースにユニバーサルエリアとして弊社オリジナルのパッドインDIPパターンを設けています。
これは2個宛連結した2.54mmピッチで配置したスルーホールの間にチップ部品または3端子SOTの表面実装部品用パッドを配置し、 表面実装部品への配線はスルーホールを介して行なう様にしたもので、 表面実装部品を実装しない場合は通常の2連スルーホールのユニバーサル基板と同様に扱えます。
専用のピッチ変換基板を使用せずに表面実装部品を使え、回路設計のフレキシビリティが大幅に増加します。
PAD_IN_DIP1写真  PAD_IN_DIP2写真
電源グランドとシグナルグランドの接続 研究開発用基板では電源グランド(GND)とシグナルグランド(SG)を分離してグランド系統の配線にフレキシビリティを持たせています。
実際の回路ではこれらを何処か一点で接続する必要が有ります。
大元の電源部での短絡、基板単体で使用する場合はその基板上の接続ジャンパを短絡、複数組み合わせる場合は何れか1台の基板の接続ジャンパを短絡、の方法が有ります。
CHIP/DIP兼用ベースユニバーサル基板PX1310を使用する場合は大元の電源部かPX1310上の電源供給部で短絡し、各ドータボードの接続ジャンパはオープンのままとします。
オープン/ショートを変更する可能性がある場合は、そのジャンパ線実装部に2極ピンヘッダコネクタを実装しておくと容易に変更できて便利です。

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