ケーブルチェッカの製作

手配線わずか10本、1時間で製作可能


●はじめに
 本頁の写真や図上でマウスポインタがクリックアイコンに変わるものは、クリックすると画像が拡大するのでご利用下さい。
フラットケーブル写真
フラットケーブル

ケーブルチェック写真
テスタによる
ケーブルチェック
SMDクランプバナー
 弊社では製品に付属させる1対1接続のフラットケーブル(リボンケーブル)が時々必要になります。

 ロット数が小さい場合には、ケーブルチェックはユニバーサル・コネクタエクステンダ「PX0101」とテスタで充分です。

 具体的には左の写真の様に、ケーブル両端のコネクタをユニバーサル・コネクタエクステンダ「PX0101」に接続し、そのチェックピンをテスタで総当たりして正常導通と不要短絡の有無を確認します。

 しかし、100本以上の50極フラットケーブルが必要なケースが最近出て来ました。
 そうなると、従来の方法では効率が悪く、精神衛生にも良くありません。
 かと言って市販のケーブルチェッカを導入する程の量ではありません。

 そこで自社の事情に適したケーブルチェッカを製作する事にしました。
 マイコンやFPGAを用いれば汎用性の高いケーブルチェッカが製作できるのでテーマとしては面白いのですが、時間的余裕が無く、汎用性も不要なので、 手動スイッチとLEDを用いた手動操作によるものとし、出来るだけ簡単に製作できるケーブルチェッカを目指しました。

 結論的にはランダム配線(手作業による配線)がわずか10本で、1時間程度で製作可能なケーブルチェッカができました。

 当然ケーブルチェッカとしての機能は充分で、ケーブル着脱の時間を除けば3秒足らずでケーブルチェックは完了です。

●回路図
 製作したケーブルチェッカの回路図です。
回路図

●回路説明
単純化した回路図
回路構成図
 左は回路図を単純化した回路構成図です。
 ポイントは全奇数番線(以下ODDブロック)、全偶数蕃線(以下EVENブロック)をそれぞれ直列に接続する点です。

 ODDブロック、EVENブロックにはそれぞれLED、押しボタンスイッチを設け、バッテリー電源(3V)に接続しています。
 これにより、ケーブルが正常であればODDブロックのスイッチを押下すればODDブロックのLEDが点灯し、EVENブロックも同様です。
 断線箇所があればLEDは点灯しないのでケーブルは不良と判断できます。

 もしODDブロックとEVENブロックのどこかで回路構成図の「短絡箇所」で示す様な短絡があれば、 ODDブロックのスイッチを押下したらODDブロックとEVENブロックの両方のLEDが点灯するのでケーブルは不良と判断でき、 EVENブロックのスイッチを押下しても同様です。

 不良が見つかったらユニバーサル・コネクタエクステンダ「PX0101」とテスタで不良箇所を見つけます。 (経験的にはそれが必要となる確率は、千本に1本にも満たないと思われます。)

 極めてシンプルな構成ですが、これでほぼ完全な試験ができると考えられます。その理由は以下によります。
コネクタ細部の写真
コネクタの圧接部

 左のコネクタの圧接部の写真で判る様に、ケーブルの全線は一列に溶着されて平板状になっており、 それを受けるコネクタの金属端子も千鳥状に配置されているので、 外観に異常が無ければ構造的にほとんど短絡の余地は無く、もし短絡するのであれば隣接する線間(ピン間)同士しか考えられません。
 実際にコネクタ本体とそれに挟まれたフラットケーブルがきちんと嵌合し、外見上問題が無ければ、ケーブルの不具合は経験上皆無でした。

 従って、短絡チェックは全線総当たりの必要は無く、念の為との意味合いで隣接する線間同士で行なえば充分と考えられます。

 見慣れているとあまり感じませんが、製作工数の少なさも含め、それ程フラットケーブルシステムは良くできているという事であり、感心させられます。

 一方、コネクタ端子の破損やケーブルの断線については外観では判らないので、全線の導通チェックは必要です。

 以上から、フラットケーブルの試験は全線導通チェックと、隣接する線間同士の短絡チェックをケーブルに振動を加えながら行なえば充分と言え、上記の回路はそれを満たしている事が判ります。


●部品
パーツ写真
主なパーツ
左は主なパーツです。
型式、メーカは回路図に記載しており、何れも容易に入手可能なパーツです。
また、同等機能品であれば他のパーツでも構いません。

ボードは弊社製 CHIP/DIP兼用ベースユニバーサル基板「PX1310」です。


●組み立て
部品面写真
部品面

 組み立て後の完成写真です。

 半田面のランダム配線は無く、部品面のランダム配線がわずか10本のみです。

 部品実装位置は回路図の各部品に基板のスルーホール位置を(X座標, Y座標)で示しているので、回路図に従えば同じ物を1時間程度で製作する事ができます。
半田面写真
半田面

 ケーブルセット時の押圧と、押しボタンスイッチ押下時の押圧が基板に直接 掛かるので、8本のスペーサ(L=10mm)をそれぞれの近くに配置しました。

 スペーサと電池ホルダのビス穴は垂直基板ガイド「PX-340」用ビス穴、 または基板周辺の支柱取り付け用ビス穴を利用しているので、基板への追加工は一切不要です。

●使用方法
 以下の手順でケーブルチェックを行ないます。 SMD用ユニバーサル基板バナー

  1. 単三電池2本を電池ホルダに入れます。

  2. 試験対象のケーブルをコネクタHD1、HD1にセットします。

  3. ケーブルを手で振動させながら「ODD」スイッチを押下し、「ODD」LEDが点灯すれば「OK」。
    「ODD」LEDが点滅するか、全く点灯しないか、両方のLEDが点灯したら「NG」。

  4. ケーブルを手で振動させながら「EVEN」スイッチを押下し、「EVEN」LEDが点灯すれば「OK」。
    「EVEN」LEDが点滅するか、全く点灯しないか、両方のLEDが点灯したら「NG」。

  5. ケーブルを外してチェック完了です。

  6. 続けて他のケーブルをチェックし、無ければ電池を抜いて試験を終了します。

 上記の手順から、極めて簡単に、素速くケーブルの試験ができる事が判ると思います。

 その様子を以下の動画にしました。


ケーブルチェッカ使用の様子
 

●製作上のポイント
 製作上のポイントは CHIP/DIP兼用ベースユニバーサル基板「PX1310」を用いる事です。

 このボードにある下図に示す2連のスルーホールパターンエリア(明快化の為に表面実装部品用パターンは記載省略)を用いる事により、コネクタを適切な位置に実装するだけでODDブロックとEVENブロックを構成する為のピン間接続が構成され、 48本のランダム配線が不要になって大幅に作業時間を少なくする事ができます。
px1310 2連スルーホール PX1310の2連スルーホール  その為に、コネクタHD1とコネクタHD2は1スルーホール分長手方向に互いにずらして実装する事に注意して下さい。

 コネクタ下方の余った2連のスルーホールパターンエリアは、1ピン−50ピン接続の様な逆接続パターンのケーブルや、40極等、他の芯数のケーブル試験用のコネクタを実装する為の将来用予備エリアとします。

 また、 CHIP/DIP兼用ベースユニバーサル基板「PX1310」は電源回りの配線を簡単にする工夫がされ、 8系統の電源バスが用意されているので、その内の2本を+3V、GNDバスとして使用したので、電源の配線も渡り配線等は全く不要で、電源配線も簡単に行なえます。

 これらの事から、配線作業が極めて少なく済み、 部品レイアウトが決まれば配線作業は1時間程度しか掛かりません。

 もし一般的な蛇の目基板を用いたら配線作業に5〜6時間は掛かると思われ、配線量に応じて配線チェック時間も増えるので研究開発者には大きな負担になります。

 CR4KVで換算すると、 CHIP/DIP兼用ベースユニバーサル基板「PX1310」を用いる事により1.6〜2万円以上の工数のコストダウンになり、そのコスト/パフォーマンスの良さが判ります。

 (初版 2018/11/03)

 (リンク元:「技術資料」

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