●ユニバーサル・コネクタエクステンダで耐電圧試験を効率化する
一般的に、内部回路と絶縁した外部入出力を持つボードでは、耐電圧試験や絶縁抵抗試験を行なう必要があります。
実際には図1.入出力回路の耐電圧試験構成例に示す様に、外部入出力をコネクタで行なう場合には、入出力コネクタ部で全端子を短絡し、これとフレームグランドまたは内部回路(通常電源又はグランド)との間に所定の試験電圧を印加します。
入出力コネクタの全端子を短絡する為には、対応するケーブル側コネクタを用意し、その端子を線材で短絡するのが一般的ですが、圧着ピンや圧着ソケットを用いるコネクタの様に、
かなりの手間が掛かる物があります。
耐電圧試験対象が常に同一のコネクタであれば、短絡用コネクタを治具として一度製作すれば使い回しができるので製作の手間は掛かりません。
しかし、新たなコネクタが頻繁に使用される工期が限られたボード開発現場では、その度に新たな治具を製作する手間は馬鹿にならず、ストレスさえ感じられます。
本稿ではユニバーサル・コネクタエクステンダ PX0101の信号引き出しケーブルを流用して、ワンタッチで入出力コネクタの全端子を短絡する方法について述べます。
図1.入出力回路の耐電圧試験構成例
入出力コネクタの全入出力信号を短絡する(クリックで拡大)
●準備 (短絡アダプタ製作)
ここではボード開発時の検証の為に、入出力コネクタをユニバーサル・コネクタエクステンダ PX0101に引き出す為の信号引き出しケーブルを既に製作済みとします。
ユニバーサル・コネクタエクステンダ PX0101の50極ヘッダーコネクタのケーブル側コネクタを用意し、写真1.ユニバーサル・コネクタエクステンダ PX0101用短絡アダプタの様な短絡アダプタを製作します。
コネクタはフラットケーブル圧接型が便利です。
50芯のフラットケーブルをコネクタに圧接してから、Φ1.0程度の銅線に全ての芯線をはんだ付けして短絡状態にし、
銅線の端を試験器からの試験電圧を印加するケーブルのワニ口クリップが接続できる様にしておきます。
本短絡アダプタを1個製作しておけば、以降の耐電圧試験では入出力コネクタの種類に関わらずこれを使い回せます。
写真1.ユニバーサル・コネクタエクステンダ PX0101用短絡アダプタ(クリックで拡大)
●耐電圧試験方法
@ユニバーサル・コネクタエクステンダ PX0101の接続
ユニバーサル・コネクタエクステンダ PX0101の「BLOCK-A,B間短絡/開放 設定用ショートプラグ」を全て短絡側に設定します。
これによりBLOCK-A,Bのヘッダーコネクタの各端子が互いに1対1で接続されます。
次に、ボードの入出力コネクタの信号引き出しケーブルをユニバーサル・コネクタエクステンダ PX0101のBLOCK-Bのヘッダーコネクタに接続します。
A短絡アダプタの接続
BLOCK-Aのヘッダーコネクタに短絡アダプタを接続します。
このワンタッチでボードの入出力コネクタの全端子の短絡完了です。
B試験
後は通常の手順で絶縁抵抗測定や耐電圧試験を行ないます.
写真2に接続例を示します。
信号引き出し用ケーブルで ユニバーサル・コネクタエクステンダに接続 |
入出力コネクタ短絡状態 |
信号引き出し用ケーブルで ユニバーサル・コネクタエクステンダに接続 |
入出力コネクタ短絡状態 |