表面実装部品(SMD: Surface Mount Device)の半田付け、特にチップ抵抗の様な小形部品の半田付けは一定のスキルが
必要で、初心者には難しいものです。
SMDクランプ(80mmアーム) PX1510は、手を使用せずに部品を基板に固定し、初心者でも容易にSMDの半田付けができる様にした半田付け用のツールです。
【従来の半田付けの方法】
半田付けの方法として以下の動画が有りましたので、参考例として下さい。
はんだ付け基礎講座 WEB版
はんだ付け3分間クッキング
これらは何れもベテランの方が半田付けされているので簡単そうに見えますが、初心者が動画のように手際良く行なう事は容易ではありません。
従来方法が難しいのは、本来は部品の位置固定、半田ゴテの操作、半田の供給の3つの同時動作が必要なのに、手は2つしかないという点です。
その為、一般的にはSMDの半田付けは以下の手順で行なわれます。
@位置固定の為に半田による「部品の仮止め」
A全体半田付け
B仮止め部の正式半田付け
@では両手に半田ゴテとピンセットを持って、部品とパッドに過度の熱ストレスを加えない様に手速く、正確な位置決めが必要ですが、
初心者には難作業です。
【SMDクランプ使用の場合】
SMDクランプを用いれば、予め基板と部品を位置決めしてSMDクランプで固定し、後はゆっくり半田付けするだけです。
これで難しい@の「部品の仮止め」が不要になり、SMDの半田付けが容易になります。
一例として1608サイズチップ抵抗の半田付けの様子を示します。
項 目 | 内 容 |
---|---|
外形寸法 |
140mm(W)、20mm(D)、22mm(H) (ビス頭含まず) アーム長 80mm(*1) |
本体部材質 |
ガラスエポキシ(FR−4)、板厚1mm、共晶半田使用(有鉛) (*2) |
対応SMD最大部品高さ | 5mm (*3) |
部品押え |
予備品として1個添付 アームに半田付けで固定しているので、ユーザサイドで半田ゴテで交換可能 ガラスエポキシの為、ヤスリにて容易にカスタマイズ可能(*4) |
【備考】本ページはユーザーズマニュアルを兼ねます。
SMDクランプ(80mmアーム) PX1510をご使用の際は本ページをご参照願います。
@小指又は薬指でテーブルを押え、人差し指でアームを持ち上げます。
Aアームを持ち上げた状態で、基板をアームの下に移動させて位置決めします。
Bアームを上げ下げして部品をセットすれば、部品押えが基板と部品をクランプします。
上の@、Aの操作を動画で示します。
【動画による SMDクランプの使用例】
@20ピンSSOPの半田付け
ASC−75 3ピンSOTの半田付け
Bパッチ線の半田付け
(1)SMDクランプのカスタマイズ
部品押え PX1510-3 の先端は用途に合わせてヤスリで適当に削ってカスタマイズすると一層便利です。
例えば、厚さ1.0mmの先端を0.5mm程度にする、幅3.0mmの先端を2mm程度にする、先端中央を0.2〜0.4mm窪ませる等です。
(2)部品押え PX1510-3 の交換
予備品として部品押え PX1510-3 を1個添付しています。
部品押え PX1510-3 はアーム PX1510-2 に半田付けで固定しているので、固定部を半田ゴテで加熱すれば容易に交換ができます。
(3)位置決めした部品への加圧
位置決めした部品に一時的に圧力を加えたい場合には、部品押え PX1510-3の上端を指で押えて下さい。
アーム PX1510-2 を押えるとアーム PX1510-2 がたわみ、それに伴って部品押え PX1510-3 の先端が動くので部品も動いて位置がずれます。
(1)リード線の再利用
実際の回路基板ではSMD用パッド間を抵抗やコンデンサのリード線をカットしたジャンパ線で短絡したい場合がありますが、
SMDクランプを用いれば簡単に半田付けができます。
また、研究開発用ユニバーサル基板 有効利用のヒント「チップ部品の端子蒸発」
で「初心者は最低でも100個はチップ抵抗の半田付け練習が必要」としましたが、SMDクランプを用いてリード線の再利用で
半田付けの練習を行なえば、惜しげ無く練習できます。
さらに、練習用基板として 0.65mmSSOP用ユニバーサル基板「PX1610」
を用いればSSOP用パッド、3ピンSOT用パッド、1608チップ部品用パッドが多数あるので、教材費としても格安になります。
ジャンパ線の半田付けの実施例を動画で示します。
(2)ジャンパ線半田付けの例
ジャンパ線半田付けテスト対象である シングルオペアンプ基板 PX1330 Side-Sのユニバーサルエリアです。
約1.6mmにカットした抵抗リード線を2.54mmピッチの連続したSMD用パッドに初心者が半田付けした様子です。
互いの干渉も無く、スルーホールへの半田の流れ込みも有りません。
もしもSMDクランプを使用しなければ、半田付けのベテランでもかなり難しい作業と思われます。
本作業では部品押え先端を0.5mm厚、幅2mm程度にヤスリ掛けしてカスタマイズし、
さらに、マスキングテープの利用のマスキングテープも利用しました。