【技術資料】 フリーレンジシャントの応用

フリーレンジシャント(FRS)を用いたフォトダイオード用I/Vアンプの方式比較

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1.はじめに

 フォトダイオードは光/電流変換素子として輝度計等の光分析器、濁度計等の溶液分析器、各種ガス検出器等の環境分析器等、多くの分野に於ける分析機器に使用されています。*1)

 本稿ではフォトダイオード用I/Vアンプ(電流/電圧変換回路)として従来から使用されているオペアンプによる一般的な方式と、フリーレンジシャントを用いる方式の得失を比較します。

 フリーレンジシャントは当社で開発した高速オートレンジ動作可能な電流/電圧変換回路で、その特性から見てフォトダイオード用のI/Vアンプはフリーレンジシャントの応用回路として最適な分野の一つです。*2)、*3)、*4)

2.一般的なI/Vアンプ

図1 一般的なI/Vアンプ
    図1 一般的なI/Vアンプ


 従来からある一般的なI/Vアンプを図1に示します。

 R1〜R3は電流/電圧変換の為のシャント抵抗です。スイッチSW1〜SW3でレンジ即ちシャント抵抗を選択します。このスイッチに半導体を用いるとその漏れ電流による誤差が大きくなります。一般的なアナログスイッチで20nA、フォトモスリレーで10μA程度になります。

 メカニカルリレーやメカニカルスイッチによると漏れ電流による誤差を無くす事ができますが高速のレンジ切り替えは出来ません。

 レンジ切り替えをせず単一レンジでフォトダイオードの大きなダイナミックレンジに対応する為に対数アンプを使用できますが、精度と分解能は良くありません。

 また入出力の関係がリニアでないので電圧/ディジタル変換の為にV/F変換器は使用できません。


3.フリーレンジシャントによるI/Vアンプ

図2 アクティブフリーレンジシャントによるI/Vアンプ
    図2 アクティブフリーレンジシャントによるI/Vアンプ

 フリーレンジシャントには大別してパッシブフリーレンジシャント(PFRS)、アクティブフリーレンジシャント(AFRS)、パッシブ・アクティブフリーレンジシャント(PAFRS)の3種類がありますが、例としてAFRSによるI/Vアンプを図2に示します。*3)

 R1〜R3がシャント抵抗で、半導体スイッチSW1、SW2で何れを有効とするか決定します。

 本回路による最大の特長は、nAからmAオーダーに渡る広いレンジで高速に変化するフォトダイオードの信号電流に対して、スイッチの漏れ電流による誤差無く高速にオートレンジで追従できることです。

 これにより常時最適な測定レンジを保つ事が可能になるので、高速に流れる流体に関する測定をリアルタイムに行なう等、フォトダイオード信号電流の高速測定が可能になります。

 一方で回路規模が大きくなり、その分消費電力が大きくなるという短所があります。


4.従来回路とフリーレンジシャントの比較

 フォトダイオードのI/Vアンプとして、従来の回路方式による場合とフリーレンジシャントによる場合とでそれぞれ一長一短があるので、それぞれ目的に応じて使い分けると良いでしょう。

 これらの比較を表1に示します。


項   目 フリーレンジシャント 従来方式
高速オートレンジ 可能 × 高速化困難
レンジ切り替え時の誤差 無し
電流積分に有利
(クーロンメータ等)
×
シャント抵抗オーバーラップ期間の誤差が発生
電流積分に不利
レンジ切り替えスイッチの影響 漏れ電流の影響小 × 漏れ電流の影響大
ダイナミックレンジ
任意に設計可能
×
対数アンプで拡大可能であるが精度・分解能低下、V/F変換器使用不可になる
精度、分解能 任意に設計可能
入出力がリニア
固定レンジの範囲内で任意に設計可能
回路規模 × 使用素子数大 使用素子数小
消費電力 × 回路規模に伴い大 回路規模小に伴い小
特長のまとめ   高速オートレンジにより大ダイナミックレンジ、高精度、高分解能の測定が可能   回路が簡素で消費電力が小さい
表1 従来回路とフリーレンジシャントの比較
5.参考

 *1)分析機器の手引き(第12版) 社団法人 日本分析機器工業会
 *2)トランジスタ技術2003年3月号(275頁) 高速レンジ切り替え可能なクーロンメータの製作
 *4) http://www.proxi.co.jp/products/frs_tec.htm フリーレンジシャント概要説明
 *5) http://www.proxi.co.jp/products/px03sc1.htm スーパークーロンメータ「PX03SC1」


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